Volksoper Wien - Outside
 劇場へ  後宮からの逃走
 フォルクスオーパー  こうもり
 2001/2002 シ−ズン 演目  メリー・ウイドー
 2001/2002 シーズン チケット  

劇場へ

フォルクスオーパーはウィーンの中心1区の北東に隣接する9区にある。
ウー・バーン6号線 U6 をウイーン西駅 Westbahnhof 方面から北へ向かうフローリスドルフ Florisdorf 行きに乗ると、やがて高架となりベーリンガー・シュトラーセ - フォルクスオーパー Währinger Str. - Volksoper 駅Währinger Str. - Volksoper 駅の手前右下に、でかでかと赤で「Volksoper」と書かれた趣味の悪い建物(上写真。 ただしこの写真は道路から正面入口を望んだもの。)が目に入るだろう。 これがフォルクスオーパーだ。
従って劇場はベーリンガー・シュトラーセ - フォルクスオーパー(左写真)を下車し、進行方向右側の出口から出、高架線沿いにわずかに戻った交差点のはす向かいに位置し、正面入口はちょうど駅の反対側となる。

Entrance Hallフォルクスオーパー

この劇場は1898年に皇帝フランツ・ヨ-ゼフ一世 Franz Josef I 即位50周年を記念して建てられ、1909年からオペラ・ハウスとなった。 しかしこの劇場に金襴と輝く大オペラ劇場の優雅さを期待してはいけない。 その名前が示すように、庶民のための、気楽に楽しめる劇場で、従って料金もウィーン国立歌劇場に比べ大幅に安い。
右の写真は正面玄関を入ったところのロビーであるが、ご覧のとおりオペラ劇場としては大変地味なものである。
シーズンはおおむね9月から6月まで、休みなく年間300公演近くをこなす。 演目はオペラ、オペレッタの他、ミュージカル、コンサート等々と幅広い。

2001/2002 シーズン 演目

作曲家 演目 邦題

オペラ

Bizet Carmen カルメン
Britten Midsummer night's Dream 真夏の夜の夢
Donizetti L'Elisir d'Amore 愛の妙薬
Humperdinck Hänsel und Gretel ヘンゼルとグレーテル
Mozart Die Entführung aus dem Serail 後宮からの逃走(誘拐)
Die Hochzeit des Figaro フィガロの結婚
Die Zauberflöte 魔笛
Puccini La Bohème ラ・ボエーム
Rossini La Cenerentola ラ・チェネレントラ (シンデレラ)
Stravinsky The Rake's Progress 道楽者のなりゆき
Verdi Falstaff ファルスタッフ
La Traviata ラ・トラビアータ (椿姫)
Wagner Die Meistersinger von Nürnberg ニュルンベルクのマイスタージンガー

オペレッタ

Kálmán Die Csárdásfürstin チェールダーシュの女王
Lehár Die Lustige Witwe メリー・ウイドー
Der Zarenwitsch  
J. Strauss Die Fledermaus こうもり
Wiener Blut ウィーンかたぎ
Zeller Der Vogelhändler 小鳥売り

ミュージカル

Bernstein West Side Story ウエストサイド・ストーリー
Jerry Herman La Cage aux Folles ラ・カージュ・オ・フォール
Frederick Loewe My Fair Lady マイ・フェア・レディー

2001/2002 シーズン 座席表と料金

フォルクスオーパーの座席表は次のとおりで、料金のカテゴリー別に橙、赤、緑、紫、灰色と色分けされている。 この他に平土間中央最後部と、2階席 2. Rang 最後部にシュテープラッツ stehplaz = 立見席がある。 なお下記の料金表ではローゲ Logen については原則省略した。
座席表

カテゴリー 座席の場所 上図の座席色 料金 (ユーロ)
A B C K
I Parkett 1 - 9 列目 65.41 50.87 30.52 36.34
Parterre 1 列目
1. Rang 1 - 4 列目
II Parterre 2 - 7 列目 43.60 36.34 20.53 36.34
1. Rang 5 - 6 列目
2. Rang 1 列目
III Parterre 8 - 12 列目 29.07 25.44 10.90 25.44
1. Rang 7 - 8 列目
2. Rang 2 - 3 列目 座席 8 - 19
2. Rang 4 - 5 列目 座席 9 - 20
IV 2. Rang 2 -3 列目 座席 3 - 7 16.71 14.53 7.27 14.53
2. Rang 4 - 5 列目 座席 3 - 8
2. Rang 6 - 10 列目 座席 3 - 20
Partial View 2. Rang 2 - 10 列目 座席 1 - 2 灰色 5.81 3.63 5.81
Logen 座席 5 4.36 3.63 4.36
立ち見 Parterre     2.18
2. Rang   1.45
プログラムは次のフォルクスオーパーのウェッブ・サイトに掲示されている。
http://www.volksoper.at/
チケットの予約はそのサイトのカルテン「Karten」という表示をクリックし、「Ticket On-line」をクリックすると「ticket.cultrall」のサイトに入り、ここからウィーンの主要劇場のチケットの予約が出来る。 予約したチケットは劇場でピック・アップすることになるが、その手数料は最高20%と高い。 このサイトからどの程度残席があるか確認し、席が残り少ないときはこのサイトを利用して予約をするとよいだろう。

後宮からの逃走

2001年、27年ぶりにウィーンを訪れるにあたって、ぜひフォルクスオーパーでウィーンらしいオペレッタを見たいものだと計画を立て始めた。 ミュンヘン、プラハおよびウィーンの演目をパズルのように組み合わせ、結局ミュンヘンの後の11月27日から29日の3日間をウィーンに当てることにする。 29日のシュターツオーパーの「アルジェリアのイタリア女」は好きな作品ではずせない。 27日にはフォルクスオーパーでこれも好きな「チェルダーシュの女王」があるのだが、シュターツオーパーのヴェルディの「ジェルーサレム」というのは非常にまれにしか演奏されない。 この機会を逃したらまずもう見ることは出来ないだろう。 ということで28日の「後宮からの逃走」をフォルクスオーパーで見ることにした。 この「後宮からの逃走(フォルクスオーパーのプログラムでは「逃亡」と訳している。)」はNHKの「すばらしき歌劇場 - ウィーン・フォルクスオーパーの全て」でそのメーキングが放映されたものだ。 2000/2001シーズンの最後を飾る新演出で、2001年3月に幕が切られた。
演出はスイスの映画監督マルクス・インフーフで、後宮をトルマリンのイメージのガラスの館とし、コンスタンツェはじめスペイン人達の衣装は現代風で、セリム達は中世的な衣装と言うアンバランスなものだ。 なお歌唱のないセリム役には黒人俳優ニコラス・モヌーが抜擢されている。
この放送はディジタル・ハイビジョン放送だったため、俳優の細かな表情までが手に取るように見えた。 コンスタンツェとセリムの登場の場面からコンスタンツェがセリムの愛を既に受け入れているように見えるし、これがこの新演出の目指すところだと言う。 このことはセリムの愛撫とそれを受け入れるコンスタンツェの表情からもうかがい知ることが出来る。 またセリムの表情にはよこしまな表情がありありと見て取れ、とてもコンスタンツェに手をつけずに返すなど信じられない。 したがって終幕の「憎しみに対して憎しみで答えるのでなく、善行で答えるのだ。」というセリムの言葉はまことに白々しく響く。 全く説得力のない演出だと言うのが偽らざる感想であった。 勿論俳優は演出者の指示に忠実に従い、演出者は満足したようだが。 
この「後宮からの逃走」を見ることになってしまったわけだ。 当日のキャストは次のとおり。
2001年11月28日 モーツアルト「後宮からの逃亡」
  Konstanze Edith Lienbacher   Belmonte Steve Davislim
  Blonde Hiroko Kouda   Osmin Maurizio Murato
  Selim Nicholasu Manu   Pedrillo Oliver Ringelhahn
  指揮 Mark Foster   演出 Markus Imhoof
  美術 Werner Hutterli   衣装 Ingrid Erb
当日のキャストはブロンデが韓国人のシン・ユンジョンに代わって幸田浩子、オスミンがビャルニ・クリステンソンに代わってマウリツィオ・ムラートである他は新演出初日のものと変わらなかった。 歌手人は非常にバランスがよく、どの歌手も満足の出来る演奏であったが、やはりそのなんとも気味の悪い演出、すなわちセリムの表情と、コンスタンツェとセリムの関係等々のためとても楽しめるものでなかったのは残念だった。
ところでブロンデだが、てっきりシン・ユンジョンが歌っていると思っていた。 というのも舞台上の容姿がテレビで見たものとそっくりなのである。 プログラムを見て初めて幸田浩子だとわかったのだが、この幸田さん東京芸術大学を首席で卒業し、2001/2002のシーズンからフォルクスオーパーの専属歌手となり夜の女王や「愛の妙薬」のアディーナを歌うと言うことだ。 すでにグスタフ・クーン Gustav Kuhn の指揮でワーグナーの「ラインの黄金」、「ジークフリート」と「神々のたそがれ」そしてモーツァルトの「レクイエム」のCDが出ており、今後期待されるソプラノ歌手だ。

こうもり

上記の「後宮からの逃走」についての私の感想を読まれて、フォルクスオーパーに対する偏見をもたれる方はいないと思うが、念のため最近NHK/Hiで見た1999年6月の引越し公演について記しておこう。
この公演ははエルサレム生まれの指揮者アッシャー・フィッシュ Ascher Fisch の指揮、ロベルト・ヘルツル Robert Herzl の演出で行われたが、本公演の特徴はヘルツルのこの作品に対する新解釈である。 舞台装置、衣装とオルロフスキー侯以外の役回りは大変オーソドックスなものである。 変わっているのは、オルロフスキー侯だ。 このどたばた劇のスポンサーのオルロフスキー侯はメゾ・ソプラノまたはテナーと指定されているが、通常はメゾ・ソプラノが歌う。 そしてその役作りは大富豪だがひ弱、引っ込み思案でおずおずとしている青年と言うのが普通だ。 この公演ではヨッヘン・コヴァルスキー Jochen Kowalski という男性のアルトを配することによって、オルロフスキーを中年の大変高圧的な人物にしたてており、このオペレッタの中で重要な役回りをさせている。 アデーレ役のウーテ・グフレラーもなかなかよく、何度見ても飽きない公演であった。

メリー・ウイドー

2002年10月6日 レハール 「ディ・ルスティゲ・ヴィトゥヴェ」
  Hanna Elisabeth Werres   Danilo Sebastian Holecek
  Baron Zeta Sándor Németh   Valencienne Gabriela Bone
Camille Sebastian Reinthaller Njegus Rudolf Wasserlof
  指揮 Michael Tomaschek   演出 Robert Herzl
  美術 Pantelis Dessyllas   衣装 Barbara Bilabel

この劇場でオペレッタを見ようという希望がやっと実現した。 本当はカールマンの「チェルダーシュの女王」が見たかったのだが、日程のやりくりの末「メリー・ウイドー」をパルケット1列目のセンタ−の端の席で見ることになった。
非常にあでやかな舞台を期待していたのだが、第1幕および2幕はなんとなくくすんだような舞台で、ハンナを演ずるエリザベス・ヴェッレスが太めで全く魅力がないのが、最前列で見ていただけに興ざめだ。 ダニロが第3幕の最後までハンナとの結婚を拒んでいたのがわかる気がする。 ダニロとカミーユの男性陣は声量も豊かで高音も自然に無理無く出ていて心地よい。
この作品を1人で楽しいものにした功績者はニェグーシュではなく、ヴァランシェンヌのガブリエラ・ボ−ネだった。 チャーミングで歌も踊りもうまい。 カンカンは言うに及ばず、横転までして舞台せましと縦横にその魅力を発揮した。
Merry Widow
左からガブリエラ・ボ−ネ、セバスチャン・ホレチェック、エリザベス・ヴェッレス、セバスチャン・ラインターラー、ルドルフ・ヴァッサーローフ。